ある社長に相談を受けた時の話です。
社長「会社を大きくしたいが、私の身体も一つしかないから、これ以上やること
増えると見切れないんだよね」
私 「それは当然そうだと思いますよ。社長の会社での仕事の業務って何されて
いるのですか?」
社長「全部だよ!全部!!すべての現場の段取りから現場でのやり方、営業もや
るし、ほかの営業がとってきた仕事のチェック、それにお金の管理や、銀
行との交渉もあるし、その中でもちろん経営もやっていかなきゃならない
し。ほかにもすべて会社のことは細かなことまで一度は自分が目を通して
からやるようにしているよ」
私 「・・・・・・(そりゃ無理だろ)」
私 「右腕みたいな人いないんですか?」
社長「いるよ。でもやっぱり自分がすべて目を通さないと仕事がうまくいかない
からさ~」
私 「それだけすべて自分がやってて、これ以上仕事増えたら、そりゃ会社回ら
ないですね」
社長「そーなんだよ。でも俺ってすべての事を把握していないといられない絶ち
なんだよね」
あたかもすべての事を把握し、すべての事に目を通していることが、すごいこと
で、偉いことだと言わんばかりに話してくる社長。
こういう経営者本当に多いです。
こういう経営者と話していると、いろいろなことを感じます。
自分が誰よりも仕事ができると思っているんだな
私は全ての事柄に対して、誰よりもできると思っていませんし、できる必要はな
いと思っています。
会社は組織でありチームです。
それぞれが、それぞれの役割を全うしていくことが大切ですし、現場を任されて
いるのであれば、社長ではなく、その現場人間が一番できた方がいいに決まっています。
しかも、実際はそればかりをしているのですから、すでに社長よりも、その分野
において優れているかもしれません。
しかし、もっといいアイデアや効率のいい方法があったしても、社長がそのよう
な考えでは、社員からなかなか言うことができず、会社が良い方向に行きませ
ん。
社員を教育していないんだな
初めからできる人はいません。
経験して、失敗して、多くの事を学び出来ることが一つ一つ増えていきます。
しかしいつまでたっても、社長がすべての指示を出し、
その指示に従い作業を行っていく、
それでは、いつまでたっても社員はある一定のところまでしか成長しない。
そして、教育し成長させるのは、上司の仕事。
誰もそういう社員がいないなら、トップ(社長)が初めはしなきゃならない。
それができていないということは、ただ単に社長が教育するという大切な仕事を
さぼっているだけなのです。
社員のモチベーションを上げるのが下手なんだな
社員のモチベーションを上げるのに大切なことはいくつかありますが、いつまで
も社長の指示だけで動いていては、社員の達成感も少なく、モチベーションを保
つことは難しいです。
仕事の失敗ばかり考えるのではなく、もっと先の未来を描きながら、仕事を振り
分けることも大切です。
※社員のモチベーションについては改めてブログで書かさせていただきます。
会社が1つのチームとして機能していないんだろうな
先ほど記載したように、会社は組織でありチームです。
もしも一人で全部できるなら、社員など雇わなければいい。
でも一人ではできないから社員を雇い、より高度な仕事ができるように、より大
きな仕事ができるようにしているのではないですか。
だとするのであれば、役割を明確にし、それぞれがその役割の中で、責任をもっ
て行っていくことができれば、そこに相乗効果が生まれ、きっと会社はより良い
方向に進んでいくはずなんです。
個々の力が優れていても、チームがバラバラでは、
社員を信じるという信頼感がなければ、それは決していい会社とは言えません。
自分に自信がないんだな
もしも社員に何かを任せ、そしてミスをしてしまったとします。
そのミスによって会社が倒産したり、大打撃を受けてしまうようなことであれば
少し話は別ですが、全てがそのような案件ではないと思います。
少しずつ仕事を任し、その中でミスが起こってしまったなら、それこそ社長のト
ップの出番です。
そこでけつを拭いて上げればいいのです。
そこで仕事をカバーするのは、労力もいりますし、余計な仕事が増えたと感じる
かもしれません。
でもそのような経験をしていかなければ、社員を成長させていくことはできない
のです。
何の仕事も任すことできない人は、そんなけつを拭くこともできない、
自分に自信がなく、
気が小さい、
そして、会社では偉そうにしてても、実際はそんなに私は仕事ができない人です
と公言しているとしか、私には感じません。
まとめ
自分の見えないところで、社員に仕事を任せ、ある程度の権限を持たし業務を遂
行していくことには勇気がいります。
そしてそれはすぐにできることではないかもしれません。
しかし、そうなるための努力を怠ってはいけません。
そのような社員が増えていないのであれば、
それは、社員が無能なのではなく、
そのような社員を成長させることのできない自分自身が無能なのです。
そして、それを自分は何でも「自分の目で確かめないと気が済まない絶ち」とい
う言い訳で自分自身を納得させないでください。
上司が部下を成長させることができないのであれば、
信用できる社員を作り出すことができないのであれば、
それは経営者としての仕事を怠けているだけであることに気づいてください。
会社が大きくなれば、必然的に自分の目の行き届かないところが増えてきます。
しかしそこに信用できる社員、
絶対的な信頼をおける社員がいるからこそ、
経営者は自分の仕事、
自分にしかできない仕事をする時間が生まれ、
それぞれがそれぞれの役割の中で、健全な会社となっていくのです。